年収の水準は、転職時に検討すべき重要な要素ですね。しかしながら、高い年収を誇る企業はどこにあるのでしょうか?M&A業界で最も年収が高いとされる企業については、多くの方が馴染みがないかもしれません。
今回は、M&A業界で高年収を実現している企業のランキングや、その背景についてご紹介します。全文を読むことで、どのようなM&A企業が高い給与水準を維持しているのかがわかり、転職を考える際の参考になることでしょう。
ここではM&A業界の年収が高い背景について解説していきます。
日本は高齢化が進む中、多くの中小企業が後継者の不足に苦しんでいます。そのため、企業の継承手段としてM&Aが注目を集め、需要が高まっています。特に地方の中小企業では後継者不在が深刻な問題となっており、その解決策としてM&Aが求められているのです。
このような社会的背景から、M&A業界に対する需要が持続的に増加し、業界全体の収入を押し上げる要素となっています。
M&A業界での年収水準が高い主な理由の2つ目は、近年市場が著しく拡大しているからです。日本企業によるM&A取引は、2017年以降業界全体の業績が向上し、2021年には4,280件、2022年には前年比1%増の4,304件と過去最高に達しています。
日本のM&A案件が増加している背景には、高齢化した経営者や後継者不足による中小企業の事業承継問題、コロナ禍で業績が悪化し資源を集約する企業が増加したこと、M&Aの認知度向上、公的機関や関連企業によるサポートの充実などが挙げられます。
さらに、最近ではスタートアップのM&Aも増加傾向にあり、日本のM&A市場は今後さらなる成長が期待されています。M&Aは企業戦略においても重要な分野であり、今後も取引件数は増加していくでしょう。
M&A業界で高い年収が実現される3つ目の理由は、インセンティブ制度の採用です。M&A企業は、M&Aコンサルタントの能力やスキルに依存するビジネスモデルを持ち、実績のある社員に対して高額なインセンティブを提供することが一般的です。
通常、インセンティブ率は売上の10%ほどですが、20%を超えるケースも見られます。M&A業界は実力主義を徹底しており、成果に応じて報酬が支給される仕組みとなっています。
意欲的で優れた能力を持つ人々は、成績に見合ったインセンティブで評価されるため、やりがいを感じやすい環境と言えます。
M&A業界における高年収の要因の4つ目は、賞与が高いことです。先述のランキング上位の企業では、賞与が400万円近くに達する企業もあり、通常の企業の賞与平均を大幅に上回っています。
特に、大手のM&A企業は経常利益を増やしており、業績向上に伴い社員へ分配されるボーナス額も相応に増加しています。M&A業界の高収入イメージは、平均的なボーナス額を上回っていることが主な理由とされています。
M&A業界での高年収の5つ目の理由には、1人のコンサルタントが取り扱う案件数が多く、個々の成約金額が大きいこともあります。特に、仲介会社では少人数で多数のM&A案件を処理することが一般的です。
1人のコンサルタントが複数の案件を担当し、1件あたりのM&A成約金額が高額であり、1つの成立に伴う手数料が数千万円に達することもあります。大企業との関わる大規模なM&A案件が成立すると、1案件で1億円以上の取引もあります。
M&A業界の年収が高い6つ目の理由は、M&A業界独自のビジネスモデルにあります。 M&A企業では、通常の企業が必要とするような投資や原材料購入といったコストがほぼ不要です。 M&A業界の商品はコンサルタントなどの人材であり、人件費以外の大きな経費がかからないのが特徴です。
これまで説明したように、1つの取引ごとの収益力も非常に高いビジネスモデルです。 さらに、M&A事業に参入する企業が増加しており、優秀な人材の獲得が業界で生き残るための鍵となっているのです。
優秀な人材の獲得と流出防止のために、インセンティブやボーナス、福利厚生などに人件費を投資しているM&A企業も増加しています。
ここからはM&Aで年収の高い会社を紹介していきます。
2022年の決算報告によると、M&Aキャピタルパートナーズは、M&A業界で著名な企業の1つです。過去5年間の平均年収は2,688万円であり、この期間の平均年収は2,624万円でした。
同社の従業員の平均年齢は30代前半であり、一般的な民間企業の平均給与である414万円の約5倍に当たる金額です。給与には固定給、インセンティブ、業績賞与が含まれており、営業一般職の平均年収は1,374万円であり、管理職の場合は3,432万円を目指すことができます。
M&Aキャピタルパートナーズは、日本のM&A業界において高い報酬を得ることができる有力な企業です。
フリーハン・ローキー(旧:GCA株式会社)は、M&Aアドバイザリー企業です。2019年以降、有価証券における年収は非公開となっておりますが、過去5年の平均年収は1,997万円と、非常に高い水準です。
2021年時点の有価証券報告書等による推定金額は、2,063万円となりました。平均年齢は37歳であり、同年代の平均年収500万円と比較して4倍となる高い給与水準が設定されております。
年収は、アソシエイトが約800万円であり、ヴァイスプレジデントに昇格すると1,200万円を超えるものとなります。この給与体系は、固定給に加えて、業績や評価に基づいた賞与が支給される仕組みとなっています。
3つ目の会社は、業界トップの企業である日本M&Aセンターです。2023年の統合報告書によると、株式会社日本M&Aセンターホールディングスの従業員の平均年収は1,114万円に上ることが明らかになっています。
この企業の特長は、M&Aの仲介業界においてトップクラスのネットワークを持っている点です。300以上の地域金融機関や900以上の会計事務所、そして1,700以上の法律事務所と提携しており、情報の規模でもトップレベルと言えるでしょう。
また、売り手(譲渡企業)と買い手(譲受企業)の担当者を社内で分ける分担制度により、最終契約までサポートすることでも有名です。取り扱う案件数は3つの企業の中でもっとも多いです。
当記事では、M&A業界の高い年収に焦点を当て、年収の高いM&A企業をご紹介しました。M&A業界は、同じ世代の平均年収に比べて非常に高い水準の収入が期待できます。高い収入が見込まれる反面、業務の難易度や残業の頻度も高くなることがありますが、収入を重視して転職を考える方にとってはやる気を維持しやすい業界です。
この記事で紹介した転職のコツを参考に、M&A業界での転職を成功させてください。
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