M&Aの主な仕事内容とは?求められるスキルも紹介

2024.08.31
転職ノウハウ

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M&Aの最終目的は、メリットのある企業買収の成功にありますが、M&A業界を志す人の中には、目的に至るまでの仕事内容を具体的にイメージできない人も多いのではないでしょうか。
本記事では、M&Aのプロセスにおける仕事内容と必要なスキルについて、詳細を説明しています。
業界の全体像をイメージしたい人は、ぜひ記事内容をご確認ください。

M&Aの主な仕事内容とは?

M&Aの各プロセスの詳細を説明します。

  • M&Aを行うための準備
  • M&Aの実行
  • 成約後の流れ

M&Aを行うための準備

準備段階では目的や条件の洗い出しから始まります。M&Aを行う目的に始まり、雇用の継続や経営者の個人保証の解消、譲渡価額などシビアな条件交渉が必要な箇所は、M&Aを進める上で重要なポイントです。

他には、純資産や負債などの経営状況の把握を進めます。経営状況を裏付けるための決算資料や事業計画書をはじめ、不動産登記簿謄本や組織図などの資料を集めるのも大事な仕事です。揃えた資料や経営環境などを総合的に判断したあとに企業価値の評価を行い、最終的に企業価値を算出します。

M&Aの実行

実行段階では、まずM&Aの目的や希望条件、譲渡企業の業種と事業内容を考慮しつつ、M&Aを受けてくれそうな企業を選定します。
企業の選定が完了したら、企業のオーナーとの面談の機会を設け、経緯と希望を伝えながら最終的に基本合意を取り交わします。その後、M&Aのスケジュールや条件を決める流れとなります。

基本合意すると、「デューデリジェンス(買収監査)」に進みます。デューデリジェンスとは、対象となる企業の財務や税務、法務など、譲渡企業に関する様々な情報を詳細に調査することを言います。
これまでの合意や資料などの情報とは異なる内容が見つかった場合、再度交渉の場を設けて調整を行い、最終契約を経てM&Aが成立する流れです。

最終契約を締結したら、M&Aの目的や今後の処遇について従業員や関係者への説明を行い、主要な取引先や銀行などに連絡し、説明を行うディスクロージャーへと進みます。

成約後の流れ

譲渡が完了した後は、人事制度や社内のシステム、従業員の意識など、双方の企業を一つに統合する「PMI(経営統合、経営融合)」が実施されます。

仲介方式とアドバイザリー方式の違い

M&Aには仲介方式とアドバイザリー方式があります。
それぞれの違いと詳細を説明します。

仲介方式

仲介方式では、M&AアドバイザーやM&A仲介会社が売り手と買い手の間に入り、中立の立場からM&Aの成立を目指して助言を行います。

仲介方式では、一方に偏ることなく両社の利益のバランスをよく考えて、双方の希望や条件を調整する交渉が進められます。相手企業の状況が把握しやすく、交渉が円滑に進む点が特徴的です。
M&Aを成功させるためには、中立性や公平性をしっかり維持できる仲介業者を選ぶことが重要です。

アドバイザリー方式

売り手企業と買い手企業それぞれにFA(フィナンシャルアドバイザー)が付き、FA同士が代理人として交渉する方式です。

アドバイザリー方式では、それぞれのFAが契約した会社の利益を優先して交渉を進めるため、自社の利益を反映させやすいメリットがあります。

一般的に、中小企業のM&Aは仲介方式で行われることが多い一方、大企業同士のM&Aではアドバイザリー方式が採用されます。
アドバイザリー契約には、専任契約と非専任契約があり、専任契約が多く採用される傾向があります。

M&Aの仕事に求められるスキルとは?

M&A業界で活躍するために習得しておきたい基本的なスキルや、将来的に必要となる専門知識について紹介します。

  • 専門知識と経験
  • 会計・法律・税金・経営などの専門知識
  • 買収対象となる企業の業界に関する知識
  • 折衝能力

専門知識と経験

M&A業界で活躍するには、M&Aの専門知識や経験が必要です。プロセスごとに求められるスキルが異なるため、活躍できるポイントが幅広い点にも注目です。

M&Aの段階 業務内容
準備段階 目標設定・仲介会社選定・マッチングなど
交渉段階 バリュエーション・交渉・デューデリジェンスなど
クロージングフェーズ クロージングの準備・実行・事後処理など
PMI(経営統合)フェーズ 短期プラン実行・中長期プラン実行など

M&A業界で幅広く活躍するには、M&Aに関する広範な知識を身につける必要があります。さまざまな局面で選択を強いられることが多いため、最善の選択ができるように、ノウハウや経験も欠かせません。

会計・法律・税金・経営などの専門知識

M&A業界で優れた仕事をするためには、次のような会計・法律・税金・経営に関する専門知識も必要です。

会計:財務諸表や原価計算の知識
法律:会社法や労働法の知識
税金:法人税や譲渡所得税の知識
経営:経営戦略やマーケティングの知識

M&Aのプロセスにおいては、ピンポイントで公認会計士、弁護士、税理士などの専門家へ依頼するケースも多いです。

ただし、専門家任せにしてしまうと、提案の妥当性を総合的に判断できなくなります。M&A業界で働くためには、専門的な知識を持つ人材が活躍の場を大きく広げることができるでしょう。

買収対象となる企業の業界に関する知識

買い手の企業には、買収先の業界に関する専門的な知識が求められます。
M&Aの主な目的は、売り上げの拡大や新事業の展開です。目的を達成するには買収先となる業界を正しく理解し、成長性のある企業を買収しなければいけません。M&Aの成功は業界の理解にかかっているということもできます。
また、さまざまな業界の知識を持つことで、既存事業との相性や事業拡大の可能性をより深く検討することができます。

折衝能力

交渉力、提案力、営業力、コミュニケーション能力など、人と接する上で必要とされるヒューマンスキルは必須です。

M&Aを成功に導くには、交渉力をはじめとする対人折衝能力が欠かせません。
企業の将来を担うM&Aにおいて、各企業が自社にとって最善の結果を得るために、交渉を進めたい思惑があります。
双方の利害を調整し、交渉をうまくまとめるには、あらゆるヒューマンスキルを駆使する必要があります。
また、企業だけでなく、株主、取引先、金融機関、労働組合、従業員などに対しても説得力のある説明が求められます。

まとめ

M&Aの主な仕事内容は、M&Aの方針や目的の策定、買収先企業の選定と交渉、買収後の企業統治に分かれます。各プロセスには専門的な知識が必要であり、専門スキルの習得はもちろん、専門家や各方面との折衝能力も必要です。
メインの仕事は交渉であるため、総合的なヒューマンスキルがなければうまく活躍できません。
M&A業界を目指すには、専門スキルの習得と同時に、総合的なヒューマンスキルを磨くことも忘れないようにしましょう。

 

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林健太郎…中之島キャピタルでM&Aコンサルタントを経験。成約も複数件経験し、マネージャーとして勤務後、M&A専門人材紹介会社のNewMA株式会社を設立。