M&Aとは、企業間の合併・買収を指しますが、市場規模は年々右肩上がりの動きを見せています。その背景にあるのは、経営者の高齢化による後継者不足問題。
70歳を超える中小企業の経営者が、2025年を迎える頃には245万人に上ると予想され、その半数以上にあたる127万人が後継者未定というのが現状です。
そういった背景もあり、最近では中小企業間のM&Aも活発化してきたのですが、今と昔でどのように変わったのか、最新動向や今後の展望について詳しく解説します。
目次
【2024年最新版】M&A業界の動向と今後の展望は?.. 1
M&Aマッチングサービスが拡充したことにより小規模M&Aが増加... 2
参照元:マールオンラインのレコフデータ「グラフで見るM&A動向」より
1985年のM&A件数が260件、しばらく横ばいが続いた後1990年後半~2000年前半にかけて急激な成長を見せています。しかし、2008年に起きたリーマンショックを機にM&A件数も急落し、その影響は2011年まで尾を引くこととなりました。
2012年から徐々に活気を取り戻し、2017年には過去最高件数を樹立しました。以降も、中小企業のM&A増加やサービスの多様化が進み、今では4000件を超える規模となっております。
IN-IN型M&Aとは、日本国内のM&Aを指します。グラフを見ても分かる通り、リーマンショックで一時は減少したものの、経営者の高齢化や後継者不足に伴う事業継承型M&Aの活発化で年々増加傾向にあります。2025年には70歳を超える中小企業の経営者が245万人と予想されているので、向こう数年は増加すると推察できます。
IN-OUT(OUT-IN)型M&Aとは、海外企業とのM&Aを指します。1988年以降、海外企業とのM&Aは一定件数実行されてきましたが、横ばいを保っている状況でした。ただ、リーマンショック以降、日本市場の景気低迷から海外進出を図る大企業が増加したこともあり、2011年を境に増加傾向にあります。コロナ渦で一時減少傾向に転じた時期もありましたが、日本市場も依然不透明なので、向こう数年は海外進出の動きは増えることが予想されます。
前述の通り、経営者の高齢化や後継者不足により、黒字でも廃業を余儀なくされる「黒字廃業」が後を絶たない現状にあります。それを防ぐべく、事業継承を目的としたM&Aの動きが活発化しています。他方で、M&Aサービスの拡充化に伴い、これまでの「M&A=大企業間の取引」のイメージから中小・零細企業間でのM&Aが容易になったことも要因にあります。
結論として、M&A業界は今後も好調であることが予想されます。
その理由としては、以下の通りです。
2025年に70歳を超える中小企業の経営者が245万人、内半数を超える127万人が後継者未定という現状を踏まえると、これまで以上に事業継承型のM&Aが盛んに行われることになるでしょう。
これまでのM&Aは、仲介会社に依頼し代理人間で実行する方法が主流でしたが、M&Aマッチングサービスが拡充したことで、「小規模事業者間M&A」「会社と個人によるM&A」と手軽に実行できるようになりました。成約手数料の安さが売りである一方、操作性が煩雑な一面もあるので、「誰でも簡単に操作できるマッチングサービス」が確立されたら、小規模M&Aはさらに増加することが推察されます。
海外進出を図る大企業の目的として、日本市場の低迷により利益の幅を国外に拡充するためと解説しましたが、コロナ後も依然として日本の景気低迷は否めません。また、日本という市場規模にも限りがあるので、まだまだ可能性の多い海外に拡充を図るのは自明の理とも言えます。他方で、円安の影響でIN-OUT(国内企業が海外企業を買収する案件)で伸び悩む傾向も見受けられますが、逆に言えば円高の方向に進むことになれば、海外進出の波はさらに高まると予想できます。
2023年に日本のGDPがドイツに抜かれ4位に後退したことは記憶に新しいですが、その背景には「日本産業の成熟化」が挙げられます。そこに、後継者問題というマイナス要因が重なっていることもGDP低下を加速させています。
今後の課題としては、守りを固めつつ事業拡大・新規事業の獲得を目的とした「攻めの姿勢」が重要になるわけですが、ここでもM&Aが活躍します。今あるものをより良いもの変化させるブラッシュアップの動きは今後過熱することが予想されますので、M&Aが台頭するのが間違いないでしょう。
M&A業界の最新動向、今後の見通しについて解説しました。
一昔前は、M&Aというと大企業間の取引というイメージが強かったのですが、後継者不足を皮切りに中小・零細企業のM&Aも活発化しています。他方で、事業拡大や新規事業の獲得による生き残り戦略を懸けたM&Aも増加すると推察されるので、各企業の動きはさらに加速するでしょう。
当記事は、今後の展望にも注目していきますので、最新動向は随時更新していきます。