新リース基準について解説

2025.12.09
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0. はじめに

この記事では、2024年に改正が行われた新リース基準について、改正された背景や旧リース基準との比較、また具体的な会計処理方法等について解説します。

1. 新リース基準導入の背景

リースとは、原資産を使用する権利を一定期間に渡り対価と交換に移転する契約または契約の一部分をいいます。「リースに関する会計基準」は、リースに関する会計処理及び開示に適用されます。

従来のリースの会計基準では、リース取引は主に「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の二つに区分されていました。ファイナンス・リースは、実質的に資産の購入と同等とみなされる長期リースであり、リース期間終了後には所有権が移転する、あるいはほぼ全額を支払う契約です。一方、オペレーティング・リースは、単なる賃貸借契約として扱われ、期間終了後に資産を返却することが前提となる取引を指します。

オフバランスの問題

従来の会計基準では、このオペレーティング・リースは貸借対照表に計上せず、賃借料を費用として処理することが認められていました。この処理方法は「オフバランス」と呼ばれ、表面上は財務状況が軽く見えるという利点があります。一方で、企業が長期リースで負う実質的な支払義務や使用資産の実態を財務諸表に反映できないという問題がありました。特に長期間にわたる大規模リースでは、実際には大きな負債があるにもかかわらず、それが貸借対照表に現れないため、投資家や債権者は企業の財務リスクを正確に把握できませんでした。

さらに、国際的な会計基準(IFRS)やアメリカのFASB基準では、すでにリース資産とリース負債を貸借対照表に計上する方向が採られていました。そのため、従来の日本基準は国際会計基準との乖離が生じ、企業の財務透明性や国際比較可能性に課題を残していました。海外投資家や国際的な取引において、オフバランスのリースが実質的負債として扱われないことは、不適切な評価や誤解を招く要因となっていたのです。

新リース基準導入の意義

こうしたオフバランスの問題を解消するため、企業会計基準委員会(ASBJ)は新リース基準を導入しました。新基準では、従来オペレーティング・リースとして処理されていた契約であっても、実質的にファイナンス・リースに該当する場合は、リース資産とリース負債を貸借対照表に計上することが求められます。これにより、リース契約の経済的実態が財務諸表に反映され、企業の資産利用や負債の実態をより正確に理解できるようになりました。つまり、新リース基準の導入は、単なる会計処理の変更ではなく、従来の「ファイナンス・リース/オペレーティング・リース」の区分によって生じていたオフバランスの弊害を是正し、財務の透明性を高めるための重要な改革であるといえます。

借手の処理については、IFRS第16号との整合性を図るが、国際的な比較可能性を大きく損なわせない範囲で代替的な取り扱いを定めるなど実務に配慮した方策を検討し、IFRS第16号の主要な定めの内容のみを取り入れることを決定しました。一方の貸手の処理は、基本的には旧リース会計基準の定めを踏襲する形となっています(一部、「収益認識に関する会計基準」との整合性を踏襲した箇所あり)。

2. 改正に伴う変更点

(1) 会計処理モデル

基準 会計処理モデル
旧リース会計基準 2区分の会計処理モデル(ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に区分する)
新リース会計基準 単一の会計処理モデル(全てのリースを借り手に対する金融の提供を捉え、使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る金融費用を別個に認識する)

(2) 負債の当初認識

◎旧リース基準

  • ・リース債務は見積現金購入価額かリース料総額の現在価値のいずれか低い価額とする。
  • ※所有権移転ファイナンス・リース取引で、リース物件の貸手の見積購入価額が明らかな場合は、貸手の見積購入価額をもって算定する。
  • 残価保証額がある場合はリース料総額に残価保証額を含める。
  • 行使が確実に予想される割安購入選択権がある場合は、リース料総額に割安購入選択権の行使価額を含める。

◎新リース会計基準

  • リース負債は原則として、リース開始日において未払である借手のリース料からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除し、現在価値により算定する(原資産の価値は考慮しない)。
  • 借手のリース料は、借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に関して行う貸手に対する支払いであり、次の(1)から(5)のもので構成される。
    1. (1)借手の固定リース料
    2. (2)指数またはレートに応じて決まる借手の変動リース料
    3. (3)残価保証に係る借手による支払見込額
    4. (4)借手が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額
    5. (5)リースの解約に対する違約金の借手による支払額

(3) 資産の当初測定

◎旧リース基準

  • リース資産はリース債務と同額を計上する。

◎新リース基準

次の①から④の合計額から⑤を控除して使用権資産を計上する。

  1. ①リース負債
  2. ②リース開始日までに支払った借手のリース料
  3. ③付随費用
  4. ④資産除去債務に対応する除去費用
  5. ⑤受け取ったリース・インセンティブ

(4) 貸手のリース

◎旧リース基準

取引実態に応じ、次のいずれかの方法を選択し、継続的に適用する。

  • ・リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法
  • ・リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法
  • ・売上高を計上せずに利息相当額を各期に配分する方法

◎新リース基準

取引ごとに会計処理が固定される。

① 製造または販売を事業とする貸手が当該事業の一環で行うリース

  • ・利息相当額を控除した金額で売上高を計上する。
  • ・原資産の帳簿価額により売上原価を計上する。
  • (現金購入価額と帳簿価額との差額が販売益)
  • ・利息相当額を損益

② 製造または販売以外を事業とする貸手が当該事業の一環で行うリース

  • ・利息相当額を損益(受取利息)として処理する。

③ 貸手が事業の一環以外で行うリース

  • ・利息相当額を控除した金額と原資産の帳簿価額との差額を売却損益に計上する。
  • ・利息相当額を損益(受取利息)として処理する。

(5) セール・アンド・リースバック取引

◎旧リース会計基準

場合分けせずに単一の会計処理が適用される。

  • ・資産の売却とリースに分けて会計処理を行う。
  • ・リースがファイナンス・リースに該当する場合は資産の売却に伴う損益を繰延処理し、リース資産の減価償却費に加減して損益に計上する。

◎新リース会計基準

下記の①②いずれかの処理を満たすときに資産の譲渡とリースバックを一体の取引とみて、金融取引として会計処理を行う(一体処理)。

  1. ①「収益認識に関する会計基準」等の他の会計基準等に従うと資産の譲渡が損益を認識する売却に該当しない。
  2. ②「収益認識に関する会計基準」等の他の会計基準等に従うと資産の譲渡が損益を認識する売却に該当するが、リースバックにより、売手である借手が資産からもたらされる経済的利益のほとんど全てを享受することができて、かつ、資産の使用に伴って生ずるコストのほとんどすべてを負担することとなる(フルペイアウトのリース)

※①②を満たさない場合は、資産の譲渡とリースバックに分けて会計処理を行う(区分処理)。

3. 新リース基準における会計処理の流れ

リースの会計処理の流れは下記の通りとなります。

① リースの識別

  • ・契約の締結時に、契約の当事者は、当該リースを含むか否かを判断します。
  • ・リースを含む契約について、原則として、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに区分します。リースを構成しない部分は、該当する他の会計基準等に従い会計処理を行います。

② リース期間の決定

借手

借手のリース期間を次の通り決定します。

リース期間=解約不能期間+借手が行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間+借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間

貸手

貸手のリース期間は次のいずれかによって決定します。

  • ・借手のリース期間と同様に決定する方法
  • ・解約不能期間+再リース期間

③ 会計処理

借手→単一の会計処理モデル

リース開始日に、使用権資産とリース負債を計上します。

貸手→2区分の会計処理モデル

ファイナンス・リースとオペレーティング・リースとに分類して、それぞれの会計処理を行います。

4. 新リース基準におけるリースの識別の考え方

契約の締結時に契約の当事者は、当該契約がリースを含むか否かを判断します。契約期間中は、契約条件が変更されない限りは契約がリースを含むか否かの判断を見直しません。契約にリースが含まれるのは、契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合です。特定された資産の使用期間全体を通じて、次の2ついずれも満たす場合には、サプライヤーから顧客に当該資産の使用を支配する権利が移転すると見られています。

  • ・顧客が特定された資産の使用から通じる経済的利益のほとんど全てを享受する権利を有している。
  • ・顧客が特定された資産の使用を指図する権利を有している。

5. 新リース基準におけるリース期間の考え方

(1) 借手のリース期間

借手は、借手のリース期間について次のように決定します。

・借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間

・借手が行使することが合理的に確実である延長オプションの対象期間

・借手が行使しないことが合理的に確実である解約オプションの対象期間

借手が延長オプションを行使することまたは解約オプションを行使しないことが合理的に確実であるかどうかを判断するにあたって、経済的インセンティブを生じさせる要因を考慮します。それは、次の要素が含まれます。

  • ・延長オプションまたは解約オプションの対象期間に係る契約条件
  • ・大幅な賃借設備の改良の有無
  • ・リースの解約に関連して生じるコスト
  • ・企業の事業内容に照らした原資産の重要性
  • ・延長オプションまたは解約オプションの行使条件

(2) 貸手のリース期間

貸手は、貸手のリース期間について、次のいずれかの方法を選択して決定します。

  • ・借手のリース期間と同様に決定する方法。
  • ・借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間にリースが置かれている状況から見て借手が再リースする意思が明らかな場合の再リース期間を加えて決定する方法。

※再リースは、経済的耐用年数を考慮した解約不能期間経過後において、当初の月額リース料程度の年間リース料により行われる1年間のリースを指します。

6. 会計処理モデルの比較

(1) 考え方

従来の旧リース基準では、リース物件に伴うリスクと経済価値のほとんどすべてが借手に移転した場合に、借手でオンバランスします。リースを分解可能な1つの単位として捉え、リース全体について一括してオンバランスの可否を検討します。これはリスク・経済価値アプローチの考え方に基づいています。

一方、新リース基準ではリースの構成要素に対する支配が借手に移転した場合に、借手で当該移転した構成要素をオンバランスする財務構成要素アプローチの考え方に基づいています。これは、リースを分解可能な複数の構成要素の集合体として捉えて、リースの構成要素ごとにオンバランスの可否を検討するという考え方になります。

(2) オンバランスの条件

従来の旧リース基準では、リースにおけるリスクと経済価値が実質的に借手に移転しているかという観点から、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類され、ファイナンス・リース取引のみがオンバランスの対象になります。

一方で新リース基準では、原資産の使用権が借手に移転していることが条件となります。ファイナンス・リースとオペレーティング・リースは区別されずに、すべてのリース取引がオンバランスされます。

(3) 借手の会計処理

従来のリース会計基準で、ファイナンス・リース取引ではリース開始日に通常の売買取引の方法による会計処理によって、リース物件とこれに関連した債務をリース資産、リース債務として貸借対照表に計上します。

一方で新リース基準では、リース開始日に、原資産を使用する権利とこれと交換にリース料を支払う義務を使用権資産、リース債務として計上します。

特徴

従来のリース基準の問題点

従来のリース基準では、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の分類を数値基準によって行うため、意図的にファイナンスリース取引の要件を満たさないようにリースの契約条件や契約期間を調整することによってオンバランスを回避することで、本来借手が計上するべき資産負債を貸借対照表に計上しないことになり、経済的実態を財務諸表に適切に反映されないというデメリットがあります。

新リース基準のメリット

一方新リース基準では、ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リースかの区分はせずに、すべてのリース取引から生じる資産と負債を財務諸表に反映させます。これによって比較可能性の向上に繋がり、また株主や投資家などの財務諸表利用者が適切に理解することに繋がります。

7. 新リース基準の基本的な会計処理(借手)

(1) リース開始日における使用権資産の計上額

下記の①から④の合計額から⑤を控除して使用権資産を計上します。

  1. ①リース負債
  2. ②リース開始日までに支払った借手のリース料
  3. ③付随費用
  4. ④資産除去債務に対応する除去費用
  5. ⑤受け取ったリース・インセンティブ

(2) リース負債

リース開始日において未払である借手のリース料からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除して、現在価値により算定します。借手のリース料は、借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に関して行う貸手に対する支払いであり、次の①から⑤によって構成されます。

  1. ①手の固定リース料
  2. ②指数またはレートによって決まる借手の変動リース料
  3. ③残価保証に係る借手による支払見込額
  4. ④借手が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額
  5. ⑤リースの解約に対する違約金の借手による支払額

(3) 利息相当額の各期への配分

借手のリース料は、利息相当額部分とリース負債の原本返済部分とに区分して計算します。利息相当額については、借手のリース期間にわたって利息法により配分します。これは旧リース基準から変更がない箇所になります。

(4) 使用権資産の償却

契約上の条件を鑑みて、原資産の所有権がリース期間終了後借手に移転すると認められる場合は、原資産を自ら所有していたと仮定した場合に適用する減価償却方法と同一の方法により算定します。それ以外のリースでは、借手のリース期間を耐用年数として、残存価額を0として、定額法等の減価償却方法の中から、企業の実態に応じたものを選択適用した方法によって算定します。こちらも旧リース基準から変更がない箇所になります。

ただし、新リース基準では残価保証額がある場合でも残価保証額を残存価額としないで減価償却費を算定する点に注意が必要です。

8. 新リース基準の基本的な会計処理(貸手)

(1) リースの分類

貸手は従来の基準と同様、リース取引をファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引とに分類し、さらにファイナンス・リース取引を所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引とに分類するのが特徴的です。

ファイナンス・リース取引の要件

ファイナンス・リース取引は、契約期間の途中において当該契約を解除することができないリース取引またはこれに準ずるリース(解約不能要件)といった要件と、借手が原資産からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該原資産の使用に伴って生ずるコストを実質的に負担することになるリース(フルペイアウト要件)といった要件をどちらも満たすリース取引が該当します。どちらか片方でも満たさなければ、オペレーティング・リース取引になります。

フルペイアウト要件の判定基準

フルペイアウト要件を満たすか否かの判断においては具体的な判定基準が2つあります。

  • 現在価値基準:貸手のリース料の現在価値が、原資産の現金購入価額の概ね90%以上であること
  • 経済的耐用年数基準:貸手のリース期間が原資産の経済耐用年数の概ね75%以上であること

どちらか片方を満たせば、フルペイアウト要件を満たすといえます。

所有権移転ファイナンス・リース取引の判断

また所有権移転ファイナンス・リース取引であるかの判断は、下記に3つのいずれかに該当すれば所有権移転ファイナンス・リース取引、いずれも満たさなければ所有権移転外ファイナンスリース取引となります。

① 所有権移転条項付リース

契約上、契約期間終了または契約期間の中途で、原資産の所有権が借手に移転することとされているリース取引を指します。

② 行使が確実に予想される割安購入選択権付リース

契約上、借手に対して、契約期間終了後または契約期間の中途で、名目的価額またはその行使時点の原資産の価額に比して著しく有利な価額で買い取る権利(割安購入選択権)が与えられており、その行使が確実に予想されるリースを指します。

③ 特別仕様物件のリース

原資産が、借手の用途に合わせて特別の使用により制作または建設されたものであって、当該資産の返還後、貸手が第三者に再びリースまたは売却することが困難であるために、その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなケースを指します。

(2) ファイナンスリース取引の会計処理

① リース開始日の会計処理

リース開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、所有権移転ファイナンス・リース取引についてはリース債権、所有権移転外ファイナンス・リース取引についてはリース投資資産として計上します。

所有権移転ファイナンス・リース取引の場合、借手からのリース料と割安購入選択権の行使価額で回収するため、「リース債権」は金融商品と考えられます。一方、所有権移転外ファイナンス・リース取引は、借手からのリース料と見積残存価額の価値により回収を図るため、「リース投資資産」は将来のリース料を収受する権利と見積残存価額から構成される複合的な資産であると考えられます。

② 利息相当額の算定と各期への配分

貸手における利息相当額の総額は、貸手のリース料及び見積残存価額の合計から、これに対応する原資産の取得原価を控除することによって算定します。利息相当額は、貸手のリース期間にわたり、原則として利息法により配分します。

③ 貸手の基本となる会計処理

貸手が事業の一環でリースであるか否か、また貸手の業種によって処理は異なります。

事業の一環で行うリースで、製造または販売を事業とする貸手

リース開始日に、貸手のリース料からこれに含まれている利息相当額を控除した金額で売上高に計上し、同額でリース投資資産(リース債務)を計上します。原資産の帳簿価額によって売上原価を計上し、受取リース料を利息相当額と元本回収とに区分し前者を各期の損益、後者をリース投資資産の元本回収額として処理します。

事業の一環で行うリースで、製造または販売以外を事業とする貸手

リース開始日に、原資産の現金購入価額により、リース投資資産を計上します(リース債権)。受取リース料を利息相当額と元本回収とに区分して、前者を各期の損益、後者をリース投資資産(リース債権)の元本回収可能額として処理します。

事業の一環以外で行うリース

リース開始日に、貸手のリース料からこれに含まれている利息相当額を控除した金額と原資産の帳簿価額との差額を売却損益として計上し、貸手のリース料からこれに含まれている利息相当額を控除した金額でリース投資資産(リース債権)を計上します。受取リース料を利息相当額と元本回収とに区分して、前者を各期の損益、後者をリース投資資産の元本回収額として処理します。

(3) オペレーティング・リース取引の会計処理

貸手は、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行います。貸手のリース料について、貸手のリース期間にわたり原則として定額法で計上します。

9. セール・アンド・リースバック取引

セール・アンド・リースバック取引とは、売手である借手が資産を買い手である貸手に譲渡し、売手である借手が買い手である貸手から当該資産をリースする取引をいいます。

(1) セール・アンド・リースバック取引に該当しない場合

またリースバックが行われる場合であっても、売手である借手による資産の譲渡が、「収益認識に関する会計基準」に従い、一定の期間にわたり充足される履行義務の充足によって行われるときや、もしくは工事契約における収益を完全に履行義務を充足した時点で認識することを選択するときは、セール・アンド・リースバック取引に該当せず、資産の譲渡とリースバックを別個の取引として会計処理を行います。また、売手である借手が原資産を移転する前に原資産に対する支配を獲得しない場合も、セール・アンド・リースバック取引に該当せず、通常のリースとして会計処理を行います。

(2) セール・アンド・リースバック取引に該当する場合の会計処理

「収益認識に関する会計基準」などの他の会計基準などに従うと売手である借手による資産の譲渡が損益を認識する売却に該当しない場合かもしくは資産の譲渡が損益を認識する売却に該当するものの、リースバックがフルペイアウトのリースの場合、資産の譲渡とリースバックを一体の取引とみて金融取引として会計処理を行います。いずれも該当しない場合は、資産の譲渡について損益を認識して、リースバックをリースとしてそれぞれを会計処理します。

10. まとめ

いかがでしたか?

新リース基準の各種論点についてお話ししました。

この記事が皆様にとってお役に立てば幸いです。