この記事では、グループ法人税制とグループ通算制度について解説します。
グループ法人税制とグループ通算制度の各種論点について一緒に確認していきましょう。
グループ法人税制とは、資本金や議決権の過半数を通じて密接な関係にある法人グループ内での取引や再編に対し、税務上の一体的な取り扱いを認める制度です。簡単に言えば、「100%グループ内では、実質的に一つの経済単位として扱う」という考え方に基づいており、グループ企業間の内部取引における課税のタイミングや損益の認識を適正化するための仕組みです。平成22年度の税制改正で導入され、企業グループの組織再編や経営の効率化を円滑に進めることを目的としています。
従来の法人税法ではたとえ親子会社関係にあっても、法人ごとに独立した課税単位として扱われていました。そのため、例えば親会社が子会社に資産を譲渡した場合には、グループ内部の取引であっても譲渡益課税が直ちに生じるなど、実質的には経済的な損益が発生していないにもかかわらず税負担が発生するケースがありました。こうした不合理を是正するために創設されたのが、グループ法人税制です。
この制度の中核的な考え方は、「100%グループ内では経済的な実体は一体である」という点です。そのため、グループ内での資産の移転や再編に関しては、実際に外部へ資産が移転するまでは課税を繰り延べる取り扱いが認められます。
下記より、グループ法人税制の具体的な制度を1つ1つ確認していきます。
これは、完全支配関係(100%支配関係)にある法人間で資産を譲渡した場合、通常であれば譲渡益や譲渡損が直ちに課税・損金算入されるところを一旦"繰り延べる"という特例です。すなわち、外部に経済的な移転が生じていない取引にまで課税するのは実態に合わないため、グループ内で経済的な所有者が変わっていない限り、税務上も利益や損失を確定させないという考え方に基づいています。
この繰延制度が適用されるには、いくつかの明確な条件があります。
まず、譲渡法人と譲受法人の間に完全支配関係(100%の直接または間接保有)が存在していることが必要です。この支配関係は譲渡時点において存在することが要件であり、グループ内での持株比率が99%などの未満であれば適用されません。
繰延の対象となる資産は、譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上である固定資産、棚卸資産、有価証券(売買目的有価証券を除く)、棚卸資産たる土地等、譲渡損益調整資産と呼ばれる資産が対象になります。
内国法人が所有する譲渡損益調整資産を、当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人に譲渡した場合は、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額は、その譲渡した事業年度の所得の金額の計算上損金の額又は益金の額に算入します。つまり、帳簿上の移転は行われても税務上は譲渡がなかったものとして扱われます。
そして、譲受法人において当該譲渡損益調整資産の譲渡や除却などが生じたときに、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入して認識します。また、譲渡法人と譲受法人との間に完全支配関係が有しないことになったときにも当該譲渡損益調整資産の譲渡利益額又は譲渡損失の額を認識させなければならず、繰延中の譲渡益が一括して課税対象になるため、慎重な管理が求められる一面もあります。
税務上の「寄附金」とは、対価を伴わずに財産を無償で相手に移転することをいいます。通常、寄附金は寄附をした側は損金に算入(損金算入限度あり、全額を損金に算入できるわけではない)し、寄附を受けた側は受け取った金額を益金に算入します。しかし、100%グループ内(親会社と完全子会社など)で行われた寄附については、寄附金の損金算入および益金算入をしない(=課税を生じさせない)取扱いになります。例えば、親会社から100%子会社へ寄附行為を行った場合、親会社では損金不算入、子会社でも益金不算入となりいずれにも課税は生じませんが、この寄附を受けた結果として子会社の価値は同額分増加するため、親会社が保有する子会社株式の税務上の簿価を寄附金分増加させます。
制度の趣旨としては、完全支配関係にある法人間では実質的には「同じ経済主体」とみなされるため、寄附のような内部資金移動に課税を生じさせるのは不合理であるという考え方に基づいています。ただし、寄附時に100%関係が解消されていた場合や寄附を受けた側がのちにグループ外に出た場合、また取引があった内国法人を保有しているのが個人株主の場合は適用外になるため、注意が必要です。
グループ法人税制の中でも実務で特に重要とされるのが、100%グループ内で子会社を清算した場合に繰越欠損金を引き継ぐことができる制度です。これも譲渡損益の繰延と寄附金と同様の考え方で、企業グループ全体をひとつの経済単位とみなし、税務上もその実態に即した取扱いを認めようという考え方に基づいています。
通常、法人が赤字を出した場合、その損失は「繰越欠損金」として翌期以降の黒字と相殺することができます。しかし、別の法人に事業を引き継いだとしても、その欠損金は本来、その法人固有のものであり、他社に移転させることはできません。なぜなら、法人税は法人ごとに課されるものであり、損失を自由にグループ内で回すことを認めてしまうと、課税の公平性が損なわれるおそれがあるからです。
しかし、完全子会社のように親会社が100%支配している関係では、経済的には実質的には同一主体と言えます。そのため、子会社を清算して親会社が資産や事業を引き継ぐ場合でも欠損金を消滅させるのは不合理といえます。そこで法人税法では、一定の要件を満たす場合に限り、清算された100%子会社の繰越欠損金を親会社が引き継ぐことを認めています。
この制度を利用するための条件は大きく分けて4点あり、まず1点目は親会社が清算の結了まで100%の支配関係を維持していることが必要です。途中で持株比率が低下した場合や第三者が関与した場合は適用できません。2点目に、清算があくまでグループ内の再編を目的としたものであり、外部との取引や利益移転を伴わない「適格清算」であることも求められます。3点目に、親会社が清算子会社の主要な事業を実質的に引き継ぎ、その後も継続している必要があります。単に資産だけを受け取って事業を廃止してしまうような場合は、欠損金の引継ぎは認められません。最後に、引き継がれる資産や負債は「帳簿価額」で承継することが原則です。これは、時価評価によって一度課税関係を確定させてしまうと、欠損金の繰越が実質的に意味をなさなくなるためです。これに加えて、税務署に対して所定の届出や資料の添付が求められるなど、形式面でも慎重な対応が必要となります。
この制度を活用する最大のメリットは、グループ全体でみた場合に過去の損失を無駄にせず有効活用できる点にあります。例えば、子会社が赤字を抱えたまま清算される場合でもその損失を親会社が引き継ぐことで将来の黒字と相殺し、税負担を軽減することが可能です。結果として、グループ全体のキャッシュフローを安定化させる効果があります。また、合併ではなく清算による再編を選択しても税務上の不利益を抑えられることから、柔軟なグループ再編の設計がしやすくなります。
また当該規定は100%グループ内であることが前提ですが、50%超の支配関係が「親会社の残余財産確定日の翌日が属する期の開始日から5年前の日」以後継続した後に清算すれば、繰越欠損金の全額を引き継ぐことができます。
一方で、適用要件が厳格であることから、手続を誤ると欠損金が消滅してしまうリスクもあります。特に「事業の継続性」が実務上判断の難しいポイントです。事業をどの範囲で継続したとみなすのか、資産だけでなく人的体制や取引関係をどの程度維持しているかが問われるため、慎重な検討が必要です。また、税務署の確認を受ける際には、再編の実態や目的を説明するための資料をしっかりと整備しておくことが望まれます。
「100%グループ内で株式をその発行法人(=自己株式を取得する会社)へ譲渡した場合には、株式譲渡損益を認識しない」という制度です。これは親会社やグループ内会社が持っている子会社株式を、その子会社自身が買い戻す場合に適用されるルールです。
通常、法人が株式を譲渡した場合には、その株式の譲渡価額と簿価との差額をもって譲渡益または譲渡損が発生します。例えば、ある親会社が子会社株式を帳簿価額1,000万円で保有しており、それを子会社が1,200万円で買い取った場合、通常なら200万円の譲渡益が課税対象となります。しかし、グループ法人税制の下では、このような取引においてはその譲渡益(または損失)を税務上認識しない(=損益不算入)という取扱いが認められています。
この制度の背景は、100%グループの内部取引は経済的には「自己取引」とみなせる、という考え方があります。グループ全体として見れば、株式が単にグループ内で移動しただけであり、外部との取引による実質的な利益も損失も発生していません。したがって、このような取引にまで課税を行うのは実態にそぐわないと考えられているのです。
制度の具体的な適用対象となるのは、内国法人が100%支配関係にあるグループ内法人に株式を譲渡し、その譲渡先がその株式を発行した法人自身である場合です。つまり、譲渡先が自己株式を取得する構図であり、親会社などがその自己株式を譲渡するケースに該当します。この場合、譲渡損益は発生しないものとして取り扱われ、税務上は譲渡前と同じ状態が維持されます。
この制度のメリットは明確です。第1に、税務上の中立性が確保される点です。自己株式の取得は、経営権調整や資本構成の見直しなど、グループ再編の一環として行われることが多く、そこに税負担が発生してしまうと、組織再編の柔軟性が損なわれてしまいます。譲渡損益不算入制度を活用すれば、グループ内の資本再構築をスムーズに行うことができます。
第2に、損失計上による節税目的の取引を防止できるという側面もあります。仮に、子会社の株式価値が一時的に下がっている場合、親会社がその株式を子会社に売却することで損失を計上し、課税所得を圧縮するといった行為が理論的には可能になってしまいます。これを防ぐためにも、税法上は「損益をそもそも認めない」という仕組みが採用されています。
100%グループ内の法人間で支払われた配当金について、受取側の法人では全額を益金不算入(=非課税)とすると制度です。
通常、法人が他の会社の株式を保有しその会社から配当を受け取ると、その配当金は原則として法人税の課税対象になります。ただし、二重課税を防ぐために、一定の割合を益金不算入とする制度(いわゆる「受取配当金の益金不算入制度」)が設けられています。一般的な持株比率に応じて、50%や100%といった非課税割合が適用される仕組みです。
しかし、100%グループ内の関係においては、そもそも親会社と子会社の間で配当をやり取りしても、グループ全体の経済的な利益や資金の総額は変わりません。単に資金がグループ内部で移動しているだけであり、外部から新しい収益が入ってきたわけではないのです。そのため、このような内部配当まで課税してしまうと、実態に合わない「形式的な課税」が生じてしまうことになります。こうした問題を避けるために、グループ法人税制では、100%グループ内で支払われた配当金は、受取側法人において全額を益金不算入とするという明確なルールが設けられました。つまり、税務上はその配当金を受け取らなかったものとして扱うということです。これにより、グループ内部での資金移動が法人税の負担を生むことはなくなり、グループ全体としての課税が中立化されます。
この制度の適用を受けるためには、配当を支払う法人と受け取る法人の間に100%の支配関係があることが必要です。ここでいう100%とは、直接的・間接的を問わず、完全に他の株主を介さずに支配している状態を指します。また、その支配関係が継続しており、一時的な持株移動や組織再編による断絶がないことも前提条件です。
制度の大きなメリットは、何よりも税務上のシンプルさと効率性です。従来の受取配当金益金不算入制度では、保有比率や持株期間に応じた按分計算が必要でしたが、100%グループ内であれば全額が非課税となるため、計算や税務調整の手間が大幅に省けます。また、内部留保を配当という形で移動させても税負担が生じないため、グループ全体の資金マネジメントが柔軟になります。たとえば、親会社が子会社から資金を吸い上げて再投資に回すようなケースでも、税コストを気にせずに実行することができます。
一方で、この制度はあくまで「100%グループ内」に限定された特例であるため、少しでも第三者が株主として介在している場合には適用されません。例えば、親会社が95%を保有し、残り5%を外部投資家が持っているようなケースでは、通常の配当益金不算入制度の枠組み(部分的非課税)が適用されることになります。
この制度は、グループ経営の財務管理を円滑にしつつ、法人税の二重課税を完全に排除する合理的な仕組みです。特にホールディングス体制を取る企業グループや、資金をグループ内で効率的に循環させたい大企業にとっては、非常に実務的な意義があります。
通常、法人が他の会社へ資産を分配する場合(たとえば剰余金の配当として現物を渡す場合など)、その資産は時価で譲渡したものとみなされ、譲渡益に対して法人税が課されます。しかし、グループ法人税制の下では、同一グループ内での経済的実質に変化がない取引については、課税繰延やそもそも課税を行わないルールが適用されます。(1)で紹介した譲渡損益調整資産の譲渡損益、現物分配もその一例で、グループ全体で見れば資産の所有関係が変わらないため、税務上の利益は発生しないと考えられています。例えば、親会社A社が100%子会社B社を持っており、B社が別の100%子会社C社の株式を保有していてB社がC社株式を現物配当としてA社に分配する場合、グループ外であれば時価課税が発生しますが、A社・B社が100%グループ関係にあるため、非課税で資産を移動することができます。
この制度により、グループ内で事業や資産を整理・移転する際、課税を回避できるため柔軟にグループ経営を最適化できることや、資産を含む現物を配当することで、キャッシュを使わずに親会社への利益還元が可能な点がメリットとしてあります。
その反面、譲渡損益調整資産と同様に、グループ内限定のため将来的に分配を受けた資産がグループ外に譲渡された場合その時点で繰延税金が顕在化してしまうことや、100%グループ関係(完全支配関係)が崩れると制度は適用されなくなる点に注意が必要です。
前の章ではグループ法人税制について解説しましたが、この章では令和2年3月より法改正されたグループ通算制度について解説します。
グループ通算制度とは、完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行い、その中で損益通算等の調整を行う制度です。連結納税制度を見直し、グループ通算制度へ移行することとされて令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。
通算制度を適用するためには国税庁長官の承認を受ける必要があり、グループの親会社のみならず当該内国法人との間に通算完全支配関係がある他の内国法人の全てが承認を受けなければなりません。
また、通算親法人には清算中や破産手続開始の決定を受けた法人、または協同組合等による完全支配関係がある法人は通算親法人になることができません。破産手続開始の決定を受けた法人は通算子法人にもなることはできません。
内国法人である親法人及び子法人が、グループ通算制度に関する承認を受けようとする場合には、当該親法人の通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日の3月前の日までに、同一の通算グループとなる法人全ての連名で、申請書を当該親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出しなければいけません。例えば、3月決算法人が当期から通算制度の適用を開始したい場合には、前期の12月末までに申請が必要となります。
国税庁長官は、通算承認の申請につき承認又は却下の処分をする場合には、その申請をした親法人に対して、書面によりその旨を通知します。もし仮に親法人に対して通算承認の処分があった場合には、他の内国法人の全てにつきその通算承認があったものとみなします。
また、通算親法人の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日の前日までにその申請につき通算承認又は却下の処分がなかった場合においても、親法人及び子法人の全てにつき、その開始の日において通算承認があったものとみなすよう制度設計されています。
通算承認の効力については、親法人及び子法人全てにつき、その申請をした親法人の通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度の開始の日からその効力は生ずるものとします。また、子法人が通算親法人との間に通算親法人による完全支配関係を有することになった場合は、当該子法人については、その完全支配関係を有することになった日において通算承認があったものとみなされて、同日からグループ通算制度に加入します。
ただし例外として、当該子法人の加入時期の特例として、加入日の前日の属する会計期間又は月次決算期間の末日の翌日からグループ通算制度に加入することもできます。これは事務的な負担に配慮した特例になります。
新制度であるグループ通算制度において、1番の肝となるのが「損益通算」となります。
企業グループの中には、黒字の会社もあれば、赤字の会社もあります。これまでは、たとえ親子関係にあっても、税務上は別々の法人として扱われ、それぞれに法人税が課されてきました。しかしグループ通算制度によって、100%子会社グループ内では、黒字と赤字を相殺(=損益通算)できる仕組みが整いました。
グループ通算制度の根底にあるのは、「100%支配されている会社は、実質的に一体の経済主体である」という考え方です。例えば、親会社が製造を子会社が販売を担っている場合、実際にはひとつのビジネスとして動いています。それなのにも関わらず、税務上は別法人として課税されてしまっては経済的実態に即しているとは言い難いです。そこで導入されたのが「損益通算」という考え方になります。グループ内で出た利益(黒字)と損失(赤字)を合算し、グループ全体の実質的な所得に課税するのです。
具体的にどのような仕組みなのか、簡単な例で見てみましょう。
会社名 単体所得 損益通算 通算後の所得
親会社 800万円 ▲240万円 +560万円
子会社A ▲300万円 +300万円 ±0(通算)
子会社B 200万円 ▲60万円 +140万円
合計 700万円 ― +700万円が課税所得
この場合、子会社Aの赤字300万円が親会社や他の子会社の黒字と相殺され、グループ全体での課税所得は700万円になります。子会社Aの赤字300万円については親会社と子会社Bの単体所得の金額で按分計算を行い、それぞれに割り振ります。
(親会社 ▲300万円/1,000万円×800万円、子会社B ▲300万円/1,000万円×200万円)
従来であれば、親会社と子会社Bは計1,000万円の黒字に対して税金を払う一方、子会社Aの300万円の損失は単体では使えず、グループ全体では"損"をする制度設計になっていたので、損益通算を行うことによってグループ全体の税負担が安定すると言えます。また、グループ内における赤字会社を簡単に切り離すことなくグループ内で育成がしやすくなるといった特徴もあります。
実務的な流れに関しては下記の通りとなります。
つまり、「グループ全体では通算しているが、申告は各社が行う」のが特徴です。連結納税制度のように「親会社がまとめて申告」する仕組みではないため、グループ全体の整合性を取るための内部調整(情報共有)が非常に重要です。
グループ通算制度は個別申告方式であるため、繰越欠損金についても連結繰越欠損金という概念はなく、通算グループ内の個々の法人の繰越欠損金という考え方になります。ただし、繰越欠損金の控除限度額(損金算入限度額)はグループ全体で計算されます。各社の欠損金額の区分は下記の通りとなります。
グループ通算制度を開始する場合、過去の含み損益を通算する趣旨で、原則として通算制度が開始する直前事業年度終了の時に有する時価評価資産の評価損益を認識します。通算親法人を含めて、グループ通算制度を適用しようとする全ての法人が時価評価の対象となります。時価評価の対象となる資産は、帳簿価額が1,000万円以上となる固定資産、棚卸資産たる土地等、有価証券、金銭債権及び繰延資産が対象となります(グループ法人税制における譲渡損益調整資産と同様)。
時価評価資産の評価損益を認識するのが原則ではありますが、一定の条件に該当する場合は、時価評価資産の評価損益を認識しないことができるとしています。時価評価の対象外となる法人は下記の通りです。
ここまでで紹介したグループ法人税制とグループ通算制度において名称は類似しているものの、共通点と相違点がそれぞれ存在するので、項目ごとに確認していきます。
グループ法人税制は強制適用(申請不要)なのに対し、グループ通算制度は選択適用となっており、制度を適用するためには申請が必要になります。
両制度ともに100%の資本関係を有するグループが対象となります。ただし、グループ法人税制では個人又は外国法人を通じて完全支配する場合も適用対象となりますが、グループ通算制度では、個人または外国法人を通じた完全支配関係の場合は適用対象外となります。
こちらは両制度の共通点で、各単体法人が申告します。
グループ法人税制では各法人それぞれの事業年度であるのに対して、グループ通算制度では親法人の事業年度に合わせることとされています。
こちらは両制度とも全額益金不算入とされています。
いかがでしたか?
グループ法人税制とグループ通算制度の各種論点についてお話ししました。
この記事が皆様にとってお役に立てば幸いです。